プロネット21は「インドネシアにおけるSRI普及の現状」に関するワークショップを
ビエンチャンで開催しました
                                                (2008.4.27)
プロネット21は現在ラオスで実施しているJICA草の根支援事業「ラオス国北部貧困地区における低投入型稲作技術 (System of Rice Intensification: SRI) を利用した米の増収による地域住民の生計向上計画」の一貫として、インドネシアでSRI普及に5年以上携わって大きな成果を上げられてこられた佐藤周一氏を講師としてビエンチャンに招き、3月28日に農林省中央ミーティングホールにて「インドネシアにおけるSRI普及の現状」と題してプレゼンテーションをしてもらいました。

今回のワークショップでは農林省灌漑局の幹部や関係者のみならず、全国の各県の灌漑部門の責任者が勢ぞろいしたため、大変有効かつ効果的なセミナーとなり、参加者の反応も上々でした。JICAラオス事務所の波多野氏からは「JICAパートナーシップで今後もSRIを支援していきたい」旨をコメントして頂いたこと、また、Oxfam・オーストラリアのセントン氏も出席し、2001年から今まで(2007年)のラオスでのSRIの経験を話してくれたことは、非常に良かったと思います。

コーヒーブレイクの後の討論もカンパット灌漑局長が議事進行され、経験者(ビエンチャン市農林副部長、サヤブリ県農林部灌漑課長、ルアンプラバン県農林部灌漑課長、ルアンプラバンン県北部農民管理灌漑プロジェクトのマネージャー)がそれぞれの経験に基づいて発表しました。特に良かったと思われることは、まだ、少ない面積ですが、既に実際にラオス側(タゴン、サヤブリ、ルアンプラバン)でSRIを2季作経験しており、彼らの経験談が、他の県からの参加者にとっては非常に身近に感じたのではないかという点です。


ラオス側の発表者のおもなポイントは以下のとおりです。

(1)基本的にSRIの効果(低投入、収量増収)について実感している。
(2)特に、種籾の量が節約できることは非常に良い。
(3)回転除草器は地方では中々手に入らないので、支援が必要。
(4)ジャンボタニシ、Grass Hopperの被害が特に田植後の1〜2ヶ月に集中するので、その対策が必要。

これに対し、佐藤講師からの回答は以下のとおりでした。

(3)回転除草器を使用することはベターだが、必ずしも必要ではない。もっと農民が自分で工夫して作成できるもの(例えば、板に釘をたくさん打ち付けたようなもの)でもよい。一番大切なことは、田植後5日目でまだ、見た目には草が生えていない状況(早め)の除草が大切。第一回目の早めの除草が2回目、3回目の除草の労力を大幅に軽減してくれる。

(4)ジャンボタニシの防除には田んぼを完全にドライにすることが効果がある。ミゾキリをしっかりやること。さらに、天然の材料(例えば竹の中に含まれている自然の毒素?)を使った有機農薬が非常に効果があるので、今後この技術をラオスにも移転したい。田んぼをドライにすることについて、タゴンの状況を見たところ、まだまだ、ドライの状況が不十分である。間断灌漑の効果はドライの状況をしっかりすることにより、根に活力を与えることになる。また、ドライ状況をしっかりやれれば、特にポンプ灌漑での電気代の節約は非常に大きい。

今回のワークショップにおいて佐藤講師のSRI経験からいろいろなことを学びましたが、特に、インドネシアでも、SRIがなぜ農業省主導ではなく、水資源総局(灌漑)の主導で普及されていったかについての経験談には合点が行きました。即ち、SRIの普及が灌漑に大きなメリットをもたらしてくれるからです。これまで、「水管理」「水利組合化」、、、と、いろいろなプログラムを実施しておりますが、ラオスの灌漑局関係者は概してエンジニアリングの面からのみ水管理を考えており、当事者(農民、灌漑担当者)にとって具体的にインセンティブが実感できないため中々効果が現れ難いものでした。今後は、灌漑関係者によってSRIに関する認識が高まることにより、具体的な水管理の重要性が実感され、灌漑施設の価値が再認識され、水管理だけでなく、作物の状況を観察するためにも、田んぼをより多い頻度で見回るようになる等、結果的に「営農全体」を考えるようになって、相乗効果が現れ、より良い農業の本質を農民自身が見直して行くようになる、ことを期待しています。その意味から今回のワークショップは"New Irrigateion Initiative"を灌漑局がオフィシャルに宣言したことになり、非常に画期的なことだと思われます。今後は、"SRI Lao-New Irrigation Initiative"のもとで、ラオスでSRIの普及が大きく促進されることを期待したいと思います。

因みに、佐藤氏のお話によりますと、先月(2月)に世銀に招へいされワシントンにてSRIのプレゼンテーションをされたそうです。世銀は今後SRIを1つのコンポーネントとして関係プロジェクトで積極的に取り込んで行くことになる、とのことでした。


なお、本ワークショップは、2008年4月1日付のラオス国営英字紙ビエンチャン・タイムスの一面にも取り上げられました。

<佐藤氏によるプレゼンテーション>
<参加者の集合写真>